介護職の悩み~利用者の家族からのクレーム~
- 2015-12-22
- 介護職のお役立ち情報
どのような職業に就いても何らかのクレームは耳にします。
クレームに対し、いかに対応できるかが重要なところとなりますが、度重なるクレームで心身を病むケースも少なくありません。
介護職は主に高齢者に対してのケアを行う職業です。ケアを受ける高齢者自身がクレームを口にすることもありますが、その家族がクレームを口にすることもあります。
実のところ、利用者本人よりも家族からのクレームのほうが厄介なことが多いようですね。では、利用者の家族からのクレームにはどのようなものがあるのでしょうか?実例を見て、その対応について考えていきましょう。
きちんとケアが行われていない
施設での介護、または自宅へ訪問してケアを行う訪問介護において、断トツで多いクレームがケア内容に対しての不満です。
「ご飯を食べさせてもらっていない」
「お風呂に入っていない」
「部屋が掃除できていない」
といった、介護者が行うケアに対してのクレームが圧倒的に多いとされています。
ケアをしてもらうために施設を利用し、訪問介護をお願いしているにもかかわらず、希望するサービスが受けられていないと感じると、それは利用者やその御家族からのクレームにつながってしまうのです。
介護業界で起こるクレーム対応の難しいところが、こうしたクレームは確信がとれないところです。短期入所などで施設を利用されて高齢者の方が御自宅に戻られて、御家族に施設のお話をされます。そこで「何も食べさせてもらえなかった」「お風呂に入れてもらえなかった」と話されると、御家族の方は、そのお話を信用されて、すぐに施設へ連絡をされることでしょう。
そこで、施設の職員と話をするわけですが、実際には食事提供も入浴介助も行っていたといった話を耳にするのです。介護サービスを御利用される高齢者の中には認知症を患っている方もいらっしゃいます。ケアを受けていても、それが御家族に伝わらないケースも少なくないようですね。
訪問介護においても同様で、ヘルパーが掃除をした後に御利用者様本人が部屋がちらかしてしまうこともあります。部屋が掃除されていない状況だけを目にされた御家族からのクレームがあるようです。
こういった場合、大変ではありますが、まずはご家族の言い分に耳を傾け、きちんとサービスを行った旨を説明しましょう。ここで大事なことは、他の多くのクレームにも言えることなのですが、すぐに反論を行わないことです。
記録に残している場合はそれを証明にし、食事や入浴を行った時間に関してお伝えし、認知症のあるご利用者様の家族にはその点にも触れて説明をしましょう。
「○○さんは今日○時に○○を召し上がっていらっしゃいますね。介助は○○が担当しています。ご気分が優れずにあまり召し上がれなかったようなのですが、その後はいかがですか?」
など、利用者に関心する情報を把握していることを示し、相手を気遣うことでご家族の不信感を払拭できるよう努めましょう。
預かってもらえない
短期入所の施設などでは、利用に対してのクレームも多いようです。施設を利用される高齢者の方の体調に異変が生じた場合は、速やかに御家族へ連絡します。その結果、御自宅へ帰って頂くケースもありますが、そこで「どうして帰されるの!?」といったクレームが起こります。
最近では、「お金を払っているのだからしっかりと預かってほしい」といったクレームも増えてきているようです。医師が常駐する施設では診察が可能ですが、すべての介護施設に医師が常駐しているわけではありません。介護の業界では何事も早めの対応が求められます。ちょっとした体調の異変も、後に命にかかわる大変なことにもつながりかねないのです。
介護職員はそうしたケースも想定し、万が一の対応を行っていますが、そうしたケアに対し、利用者の家族からのクレームが起こってしまいます。
短期入所やデイサービスの場合、お預かりの前にきちんとご家族への説明を行っておくことが重要です。家族で共有してもらえるよう、一言付け加えておくこともクレームの防止に繋がります。
クレームを防ぐために
バタバタしてしまいがちな介護の現場。忙しさのあまり、御家族への連絡を怠ってしまうといったこともあり、そうした説明不足に対するクレームが増えています。
連絡をしていれば、クレームにつながらかったと思われる事例も多いようですね。
万全な介護サービスを提供するには、介護をする介護者と介護サービスを利用する高齢者、そしてその御家族の方と円満な関係を築く必要があります。その為には連絡をしっかりと取り合うことが大切です。
とは言うものの、あまり接触の機会がないご家族との信頼関係を築くことは難しいかもしれません。施設によっては、日々の記録をお渡しする、家族も参加できるイベント等を開くなどして、スタッフとご家族との繋がり作ることにも力を入れているようです。
忙しい現場とはいえ、面会にいらしたご家族へ、手を止めて笑顔で挨拶をする、デイサービスなら、送迎時に軽く会話を交わすなど、信頼関係を築く機会は必ずあります。
小さな事の積み重ねが、信頼関係を築く鍵となっていきますので、少し意識して過ごしていきましょう。