これで完璧 ! 介護用オムツ交換の手順とコツ

高齢者のケアでもっとも重要なもののひとつが排せつ介助。
日々の健康状態を把握し、気持ちよく生活していただくために、適切なサポートは欠かせません。
中でもオムツを使用する方へは、身体的にも心理的にも、特別な配慮が必要になります。

そこで今回は、オムツや尿とりパッドの選び方、交換手順、かぶれなどのトラブル防止まで、正しい介護用オムツの使用方法とコツをお届けしましょう。

オムツ交換の心構え

大人に対しオムツを交換するという行為は、介助者にとっても、気持ちの上でまったく抵抗がないとはいえません。けれど、オムツを交換される側は、それよりもずっと強く、恥ずかしさや申し訳なさ、戸惑いを感じていることを忘れないでください。
嫌そうな顔はもちろん、照れ笑いや、困った素振りなども禁物です。たとえ面倒な状況になっても、いつもどおりの表情で穏やかに、冷静に対処するよう心がけましょう。
また、一日に何度もあることですから、ついつい手早く終わらせようとしがちですが、適当にすませてあとで尿漏れの原因になっては、かえって手間がかかります。
一回一回、よく注意して丁寧に行うことが大切です。

それでは、実際の交換手順をみていきましょう。

オムツ交換の手順とコツ

それでは、実際の交換手順をみていきましょう。

①まず、オムツ交換をすることを伝え、同意をもらいます。

大人がオムツを交換してもらうのには、どうしても羞恥心や屈辱心がともなうもの。そこを理解し、必ず同意を得るようにします。何も言わずいきなり始めないこと。

②ズボンを膝まで下ろし、オムツを開きます。

③排尿・排便の確認、皮膚状態の観察をします。

まじまじと見つめたり、表情を変えたりすると相手が不安になりますので、さりげなく、手早く。

④蒸しタオルやウエットティッシュで陰部を綺麗に拭きます。

同じ面を使わず、常にきれいな面で拭くようにします。 

⑤「右を向いてください」などと声をかけ、横向きに寝返りさせます。

このとき、おしり全体を拭いてあげると、さっぱりして快適です。

⑥パッドを内側にたたんで取り出し、すぐにビニール袋に入れて封をします。

⑧新しいオムツをおしりの下に差し込みます。

新しいオムツは端を丸めて、古いオムツを丸めた隣に挟み込みます。
このとき、下の方に力を入れて布団やマットにくぼみをつくると、奥まで差し込みやすくなります。

⑨新しいパッドをおむつのギャザーの内側に敷きます。

⑩反対向きに寝返りさせ、汚れたオムツを引っ張ってはずします。

一気にすると皮膚をいためるので、少しずつ。

⑪新しいオムツを広げて整えます。

差し込んだオムツの端を引っ張り出し、左右均等になるよう調整します。

⑫仰向けに姿勢を戻し、尿とりパッドを陰部にあて、オムツのテープをとめます。

指二本ぶんほどの余裕をもたせると、時間がたっても痛くなりません。

⑬ズボンを上げ、姿勢を戻して終了です。

★ここに注意★

●姿勢を変えるときは必ず声かけを。無理に体勢を変えると骨折の原因に。

●尿とりパッドの向きに注意。男性は大きい方を前側に、女性は小さい方を前側にします。

●男性は、もう一枚の尿とりパッドで陰部を包むと、尿漏れしにくくなります。

●尿とりパッドは同じものを二枚重ねても、裏に防水シートが張ってあるため吸収力は倍にはなりません。ただし大きなパッドの上に小さなパッドをしくのは有効。小パッドから漏れた尿や便を、大パッドが受け止めてくれます。替えるときも、汚れが少なければ小パッドだけですみ、経済的です。

●尿とりパッドは、オムツのギャザー部分の内部にセットすること。このギャザーからはみ出していると、尿漏れの原因になります。

●拭き取るときは、必ず前(陰部)から後ろ(臀部)へ。とくに女性の場合、逆に拭くと便が陰部につき、尿路感染症などの細菌感染を起こす場合があるので注意しましょう。

●オムツが汚れていなくても、汗で蒸れたまま長時間着けているとかぶれや床ずれの原因に。こまめに交換しましょう。

●オムツのテープは、下の二つはそのまままっすぐ貼りつけ、上の二つは少し下方向に向けて貼りつけると、腰全体を包むような形になり、尿漏れの予防に。

介護用オムツはこうして選ぶ

いまの介護用オムツにはいろいろな種類がありますね。
では本人に合ったオムツやパッドを選ぶにはどこに留意すればよいでしょうか。

▶身体能力を把握してオムツを選ぶ

・立位・座位ともに可能な場合

この場合、トイレで排せつできることがほとんどです。リハビリパンツ型のものを選び、必要であればズボンの上げ下ろしやパッドの交換をサポートします。

・立位・座位の保持が難しい場合

テープ止めのタイプを選び、臥床して交換します。転倒・転落のリスクがなくなり、本人も安心で楽。

・座位は可能だが立位が難しい場合

この場合、本人に尿意や便意があるかどうかで判断します。「トイレに行きたい」という感覚があれば、リハビリパンツ型にして、トイレで介助をするのがよいでしょう。
尿意があるのに臥床してオムツ交換をすると、残った感覚や能力の低下を招いてしまうことに。

▶排せつパターンを把握して尿とりパッドを選ぶ

・尿量が多く、排尿の間隔が長い

吸収力のある尿とりパッドを使い、排尿のタイミングでオムツ交換をします。

・尿量が少なく、頻繁に排尿がある

尿量が少ないからと、吸収力のある尿とりパッドでオムツ交換の回数を減らすのはNG。かぶれの原因になります。吸収力の少ない尿とりパッドを選び、排尿のたびに交換するのが理想です。

オムツかぶれを防ぐには

介護オムツ使用で、もっとも多い皮膚トラブルが「かぶれ」。
予防するためには、ちょっとした心がけが大切です。

●オムツ交換の時間を見直す

かぶれの原因は、オムツを長時間着用することによる蒸れと、便や尿による刺激です。
とくに夜間は交換の間隔が長くなりがち。だいたい3~4時間で交換するように調整すると、蒸れにくくかぶれも防止できます。

●オムツ交換の時間を見直す

かぶれの原因は、オムツを長時間着用することによる蒸れと、便や尿による刺激です。
とくに夜間は交換の間隔が長くなりがち。だいたい3~4時間で交換するように調整すると、蒸れにくくかぶれも防止できます。

●拭き取りの際にこすらない

高齢者の皮膚は弱いもの。皮膚を摩擦することによる刺激も、かぶれの原因になります。
オムツ交換時、過度に拭き取ったり、強くこすると皮膚トラブルのもとになるので注意が必要です。

●素材や表面の形状にも注意して

オムツやバッドにはさまざまな素材や肌触りのものがあります。そして肌の状態も人それぞれ。蒸れを防ぐための凹凸が、逆に刺激になってかぶれた、ということも。
かぶれの原因がわからない、という場合、素材や感触にも目を向けてみましょう。

●乾燥させて、いつも清潔に

オムツの中が湿っている状態が続くとかぶれを誘発します。
オムツ交換の際、オムツを閉じる前にうちわやドライヤーで風をあて、乾かしてあげるといいでしょう。ドライヤーは必ず弱風にし、やけどには十分注意します。

以上、介護用オムツについてさまざまな角度から見てきました。
排せつ状態の良し悪しは、健康のバロメーター。そしてそれを支えるオムツや尿とりパッドは、どんどん品質も良くなり、高齢者の快適な暮らしをバックアップしています。
良く知り、正しく使用することで、気持ちの良い時間を過ごしていただきたいものですね。

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