【実践スキルが一目瞭然!】介護キャリア段位制度って?

 2010年に国家雇用戦略の1つとして打ち出された「プロフェッショナルキャリア段位制度」。まずは今後ますます需要が拡大し、それに見合うだけの人材が確保できていない介護分野からスタートしたようです。
 とはいっても2013年に始まったばかりのこの制度、「まだどんなシステムかよくわからない」という方もいるのではないでしょうか。今回は、この『介護プロフェッショナルキャリア段位制度(以下、介護キャリア段位制度)』の概要と、そのメリットについてお話していきます。

「知識」をはかるのが資格、「実践スキル」をはかるのが段位

介護系の資格で比較的手が届きやすいのは、介護職員初任者研修や介護福祉士。
前者は130時間の研修で修了、後者は3年の実務経験を積むと受験資格が得られます。どち らも実技試験や演習はありますが、基本的には介護に関する「知識」を習得したという目安に過ぎません。実際の現場で何ができるか、何をやれるかを具体的に証明するものではありませんよね。
このように、今までの資格制度ではわからなかった介護の「実践スキル」をはかるのが、この介護キャリア段位制度。ただし、レベル1は「初任者研修修了済み、かつ基本的な介護技術を備えていること」、レベル3は「実務者研修修了済み、かつ利用者に応じた的確なケアを行えること」と、知識(資格)のほうもそれなりに必要とされます。

誰が評価するの?

さて、このキャリア段位制度。誰が評価するかというと…同じ事業所で働くアセッサー(評価者)です。アセッサーになれるのは、介護福祉士やサービス提供責任者以上の資格を持ち、アセッサー講習を受けたレベル4以上の職員だけ。
上司や同僚からの内部評価となると、「折り合いの悪い上司から低評価を付けられるかもしれない」「事業所によって評価がまちまちなのでは」という心配もありますよね。ですが、段位認定は客観的かつ分かりやすいチェック項目を定め、どこで誰が受けても正当な評価が得られるよう配慮されています。また、実施機関のシルバーサービス振興会を通じて、さらに念入りな外部評価も行われます。

どんな基準で評価されるの?

評価項目は下記の大項目3つです。

①基本介護技術の評価
②利用者視点での評価
③地域包括ケアシステム&リーダーシップ

そして、例えば大項目①の中項目「食事介助」の中にも、「利用者の食欲がわくよう声かけをしたか」「食事や水分の量を記録したか」などさらに細かいチェック項目が用意されています。

(参考)『一般社団法人 シルバーサービス振興会』
https://careprofessional.org/file/pr20131202164808.pdf
※クリックでPDFファイルが開きます

介護キャリア段位認定制度導入でどんなメリットがあるの?

段位は、介護業界全体で通用する実技スキルをはかる物差し。単に「○○の資格を持っています。知識はあります」というよりは断然説得力がありますから、例えば業界内で転職する時にも有利に働くでしょう。また、段位を取得すれば職場内での評価アップ、すなわち処遇(賃金面等)改善にもつながりやすくなります。
 また、事業所側としても段位取得を目指す質の高いスタッフが増え、定着率がアップするのは喜ばしいこと。OJTツールとしてキャリア段位制度を導入すると介護報酬の処遇一定加算の対象になるというメリットもあります。

介護の仕事を今までと違う側面から評価するこの新制度。これによって「介護職の未来は明るい」と感じ、新規参入する若者が増えることにも期待できそうですね。

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