認知症予防にも! 高齢者レクリエーションの目的と効果
- 2016-5-30
- 介護職のお役立ち情報
介護施設では、毎日のようにさまざまなレクリエーションプログラムが実施されています。
体を動かすもの、声を出すもの、頭を使うもの、手を使うもの・・・
介護予防に、認知症の軽減に、そして何よりも日々の暮らしに生き生きとしたはりを持たせるレクリエーションは、自立した利用者様から寝たきりの方まで、誰もが楽しめるリラックスしたひととき。
今回は、高齢者のレクリエーションの目的と種類、そして期待できる効果について、ご紹介していきたいと思います。
目次
高齢者がレクリエーションを行う目的
高齢者レクリエーションの目的には、次の3つがあげられます。
(1) 身体機能を維持・向上させる
(2) 脳の活性化
(3) QOLの向上
高齢者は身体活動が減少し、筋力も低下しています。介護予防のためにも、適度な運動は大きな効果をもたらします。
また、頭を使うクイズや手先を使う作品作りなどで脳の活性化を図り、認知症の予防や進行を遅らせる役割も見逃せません。
さらに、レクリエーションで人と触れ合ったり、趣味や生きがいを見出したりと、高齢者のQOLをアップさせるのにも役立ちます。
それでは、高齢者レクリエーションにはどんな種類があるのでしょうか。
使う部分別・レクリエーションの種類
●頭を使うレクリエーション
簡単な計算ゲームや、クイズ、パズル、言葉遊びなど、いわゆる「脳トレ」と言われるものは、楽しみながら脳細胞を若返らせ、認知症の予防にとても効果的。すでに認知症の方に対しても、進行を遅らせるのに役立ちますので、簡単なルールのものをぜひ取り入れてみましょう。
懐メロを聞いたり、歌って声を出すのも脳にとっていい刺激になります。
●体を使うリクリエーション
自立した高齢者にとっても適度な運動は健康の源。要介護者であれば、リハビリ効果も期待でき、自立支援にもつながります。また運動効果で、食欲が出たり安眠できるようになるなど、生活にもリズムが生まれます。
ただし、機能訓練のような内容では意欲を損ないます。ゲーム仕立てにしたり音楽をプラスするなど、楽しんでのびのびと体を動かせるレクリエーションがおすすめです。
●手・指を使うレクリエーション
工作や手芸、料理など、手で道具を扱うレクリエーションも人気。
手は突出した脳といわれ、手先を動かすことで、脳を働かせるのと同じ効果が生まれます。
生け花やお手玉づくり、千代紙を使ったちぎり絵などは、昔懐かしく楽しめて、手指の機能回復にもなるうえ、物づくりは完成したときの達成感も味わえますので、高齢者にはぜひ取り組んでほしいレクリエーションです。
期待できるこんな効果
以上のようなレクリエーションが高齢者にもたらす効果はさまざま。
ここでは、身体的な効果と精神的な効果に分けてみてみましょう。
身体的効果
▶体操など、腕と手指、足と足指の運動能力の向上
▶ボールを目で見て手で打つなど、身体を協調して動かす能力の向上
▶クイズや歌などでの、発声する能力の維持と向上
▶視覚や聴覚を刺激し、見る力、聞く力をアップさせる
精神的効果
▶ゲームや物作りの場でのコミュニケーション力の向上
▶道具の使い方や、色・形の識別などによる認知力の向上
▶味方同士助け合って競争するゲームなどで、協調性の向上
▶ボールを取って投げる、積み木を積むなど、集中力の向上
▶クイズ、パズルなどは思考力の向上に役立つ
▶紙風船をたたくなど、爽快感を味わい気分転換につながる
▶作品の完成やゲームの勝利などで達成感を味わい、自信と意欲が向上する
こんなにいろいろな効果が見込める高齢者レクリエーション。
多くの介護施設が日常的に採り入れているのも納得ですね。
それでは最後に、盛り上がるレクリエーションの心得をお伝えしましょう。
みんなが楽しめる高齢者レクの心得5ヶ条
その1 ルールはゆるやかに、幅をもって
レクリエーションには目的も効果もあるのですが、何より大切なのは参加者が楽しむこと。あまりにもルールが厳格で、ペナルティの連続になったり、細かすぎて高齢者に理解できないようでは、元も子もありません。
とはいえ、実際に行ってみないとわからないことも多いもの。スタートしてからうまくいかないとわかったら、臨機応変にルールを変更することも大切です。
その2 個人戦は避けて、団体戦で
個人の勝ち負けが決まるゲームは、負けた人のプライドを傷つける場合も。1対1の競技なら、チーム戦にしてチームの合計で勝敗を決めるようにします。たとえ自分が負けても、チームが勝てば嬉しいもの。もし負けても、みんなで悔しさを共有できるので気持ちのやり場ができ、トラブルも防げます。
その3 スタッフは中立の立場で
レクリエーション中の介護スタッフは、司会進行から審判、講師、安全確認と、何役もこなさなくてはならず大忙しですが、できるだけ声を出して場を盛り上げましょう。応援は公平に、勝敗を発表するときも、勝者を称えるだけでなく敗者をねぎらうのを忘れずに。
その4 開始と終了ははっきりと告げる
いつの間にか始まって、いつまで続くかわからないダラダラしたゲームや、練習だか本番だかあいまいな試合にならないよう、スタッフははっきりと大きな声で開始・終了を告げましょう。高齢者はあまり長いと気が散ってしまうので、いくら盛り上がっていても時間がきたらきっちり区切ることが大切です。
その5 新人をいきなり参加させない
いくら楽しい場でも、知らない人の中で活動するのは緊張して当然。新しく入所した人に、早く馴染んでもらおうとレクリエーションにいきなり参加させるのは避けましょう。まずは見学に誘い、スタッフがそばについて説明しながら、一緒に拍手をしたり声援を送ります。そうしてなんとなく輪の中に入り、参加への不安がなくなった頃、「やってみませんか」と声をかけてみると良いでしょう。
高齢者の心身を活性化させ、生活に彩りを与えるレクリエーション。
入居者の要介護度もさまざまな中、みんなが楽しめる内容を考えるのは大変ですが、笑顔で盛り上がる姿を見れば、そんな苦労も吹き飛ぶのではないでしょうか。
ぜひ、スタッフも一緒に積極的に参加して、わくわくしたひとときを過ごしてくださいね。