高齢者への虐待問題と対処法
- 2015-12-22
- 介護職のお役立ち情報
あってはならないことが起きてしまっています
厚生労働省によれば、介護施設の職員が利用者に行った虐待の数は221件にのぼるそうです。
これは、前年度の2012年に比べて66件も増加した結果になりますので、看過できない増加率となっています。
また、あくまでこれは「露見したケースである」ということを考えれば、この数字は「氷山の一角」という可能性も高く、これ以上の虐待事件が起きていることも考えられます。
実際、介護職員の中には「同僚が利用者に暴行しているところを見てしまった」という経験がある人もおり、そういう職員が「どう対策をとればいいか解らない」と悩んでしまっているケースも……。
同じ施設で働く職員が、あろうことか利用者に暴力をふるっているというケースはショッキングなものですが、それは絶対に許されることではありません。
そういう時は、どうしたらいいのでしょうか。
市町村の「高齢者虐待対応窓口」に通報を
市町村では、介護に関する手続きや悩みを受け付けてくれる窓口が必ず設置されています。
福祉課などを訪ねてみると、それらしい窓口を見つけることができるはず。
直接行くのがためらわれるのであれば、電話でも構いませんので通報しましょう。
この時、通報した人のプライバシーは守られますので、通報者があなたであると発覚することはありません。
残念ながら、施設によっては施設の考え方として虐待を容認しているケースがあります。
こういった状況の場合、上司に報告しても状況が変わることは考えにくいので、是正には第三者の力を借りて改善を促していくのが最善の方法になります。
通報をすれば行政が動いて施設に調査が入り、きちんと改善を促すように指導もしてくれます。
また、虐待があったという事実はきちんと公表されますし、それに対して施設がどういった措置をとったかについても公表されますので、施設は動かざるを得ません。
あくまで「施設側に改善の意志が見られない」というケースの場合ですが、こうして「第三者の力を借りる」ということも頭にいれてみてください。
虐待があるような施設には未来がない
虐待を受けている高齢者の80パーセント以上が認知症であるという報告が出ているのをご存知でしょうか?
そこには認知症の患者の行動によって反射的に起きてしまったものもあるかもしれませんが、可能性として「認知症だから、なにをしても覚えていないだろう」などと考える悪質な職員がいる可能性があります。
この様な職員の素行をきちんと改善できる施設であればいい方向に行ける可能性がありますが、問題は施設がそういう体制で、虐待の報告があるのに見て見ぬふりをしているというケースです。
露見すれば、その施設は施設としての信用を失うのみならず、逮捕者が出る可能性もあります。
実際、神戸の老人ホームで起きた虐待事件では、入居しているお年寄りの家族が施設側に不信感を持ちビデオ撮影をしたことから虐待が発覚。逮捕へと繋がりました。
考えてみてほしいのは、こうして虐待を容認してしまうということは、何かあった時にその職員が逮捕される可能性もあるということ。
職員のことを思えば、自分のためにも虐待は良くないことであると指導をしなければなりません。
それを怠っているということは、職員のことも施設は大切にしていないということです。
入居者のことも、あなたのことも大切にしてくれる施設に転職されることも視野に入れ、通報などの行動をされてください。