認知症の改善に役立つ?!今注目の音楽療法とは?
- 2015-12-22
- 介護職のお役立ち情報
昨年話題となった映画「パーソナルソング」。
1曲の歌をきっかけに、まるで生まれ変わったように生き生きとした姿に変わっていく…そんな認知症患者たちの姿を追ったドキュメンタリーです。
この映画の題材となっているのは、障害者福祉や高齢者福祉の現場でも用いられる「音楽療法」という心理的なアプローチ方法。
特に、今の日本に500万人弱いる認知症患者の心身状態回復への効果が期待されているようです。
介護施設でも気軽に行えるレクリエーションの1つして人気の高いカラオケや楽器演奏。
これもある程度音楽療法についての知識を持っていれば、お楽しみの域を出たより有意義な時間に変えることができます。
「音楽療法」と「音楽レクリエーション」の違い
音楽療法とは「音楽の持つ生理的・心理的・社会的働きを、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて、意図的、計画的に活用して行われる治療的、教育的技法」(『東京音楽療法協会』) http://www.k3.dion.ne.jp/~tamt/cure.htmlより)。
具体的には、「どういった効果をあげるためにどんな手法が効果的か」という個人個人に合わせたプログラムを音楽療法士が組み、実際に「どんな効果が得られたか」によって今後の課題へつなげていく継続的なモニタリングが行われます。
大勢の利用者の方にその場を楽しんでもらうことを目的としたレクリエーションとは、少し違うようですね。 もし介護施設のレクリエーションに音楽療法的な要素を組み込みたいなら、以下のポイントに気を付けてみましょう。
「個人レベル」を意識!
レクリエーション企画は「みんなが楽しめる」という目線も大切。とはいってもそれぞれの身体機能や認知症状のレベル、そして性格もさまざまですから、一律に「皆さんでこれをやりましょう」で済ませないようにしたいものです。
「怒りっぽいAさんには大好きなカラオケでストレス発散してもらおう」「Bさんは最近調子が良いから、得意のピアノで伴奏してもらおう」など、普段の様子を知るスタッフだからこそ思いつくアイディアもあるはずです。一度すべて詰め込むのは無理でも、こういった個人を意識した企画を少しずつ取り入れていきましょう。
また、レクリエーション中だけでなく終わった後の利用者の様子も注意深く観察するようにすれば、次回以降の課題設定に役立ちます。
「参加型要素」の強い企画を!
音楽を鑑賞したり、メロディに合わせて歌うだけでも脳へ刺激が与えられ、これは認知症予防や改善効果につながります。ですが、それをさらに効果的にするのが同時に体を動かすということです。
歌いながらカスタネットやタンバリンなどの簡単な楽器を演奏してもらう「参加型」要素を取り入れてみましょう。これなら歌をよく知らない方や歌うのを恥ずかしがる方でも、気負わず参加しやすいかもしれませんね。
また、ぜひ組み合わせて使いたいのが、昔を思い出すことで脳が刺激されそれが脳の活性化につながる「回想法」の手法。利用者世代に合わせて、レクリエーション室のインテリア小物や歌をチョイスしてみましょう。
映画のポスターを眺めながら主題歌を歌うといったユニークな試みも喜ばれそうです。
誰かを頼ってみませんか?
こちらも事前のリサーチは必須ですが、利用者の方の意外な好みを知ることができたり、意外なところから話題が広がったりと、プラスアルファの効果が得られるかもしれませんよ。