誤薬・飲み忘れ防止 ! 服薬介助の注意点とコツ
- 2016-5-13
- 介護職のお役立ち情報
高齢の利用者様は、慢性的な持病のある方も多く、何種類もの薬を服用していることが少なくありません。
服薬管理は施設の看護師が行うことになりますが、実際に薬の服用を介助するのは介護スタッフであることも多く、どの人が何種類の薬を、いつ、どのくらい飲んでいるのか、正確に把握していることが必要です。
薬は誤った使用によって毒にもなる、ということをわきまえ、毎回充分に注意してかからなければならない服薬介助。
ここでは、高齢者の服薬介助における注意点と、上手な飲ませ方のコツをお伝えしましょう。
目次
なぜ誤薬が起きるのか
介護施設には50人から100人にも及ぶ利用者がいて、介護スタッフも日々交替し、一人一人の利用者にじっくり向き合う時間はほとんどないのが現状。
そんな中で服薬を介助する介護スタッフは、「看護師がセッティングしたから安心」という思い込みからチェックを怠り、配薬にミスがあっても気づかないことがあります。
また、高齢者は薬をもらってもなくしてしまったり飲み忘れたり、他の利用者が忘れていった薬を自分が飲んでしまったりと、誤薬のリスクは常にあるのです。
介護スタッフ同士が情報を共有し、正しい薬を規定の量、決まった時間にきちんと飲んでいるか、最後までチェックしてこそ万全な服薬介助といえるでしょう。
誤薬を防止するには
それでは誤薬・飲み忘れの防止に役立つ3つのポイントを見ていきましょう。
(1)利用者の薬の把握をしっかりと
高齢の利用者には既往歴や現在の病気が複数あることが多く、主治医から服薬を指示されているもの。
けれど、きちんと通院していなかったり薬を飲んでいない高齢者もいるので、まずは入所のときにしっかりと家族から聞き取りをしなくてはなりません。
これまでの病歴や現在の病気、そして医師からの服薬の指示をきちんと把握することが、正確な服薬介助の第一歩。ここがおろそかになっていると、誤薬の危険性が高まり、また誤薬したときにも正しい対処ができなくなります。
(2)複数のスタッフによるダブルチェック
服薬介助には、薬のセッティング→配薬→服薬という三段階のプロセスがありますが、これを一人のスタッフがすべて行うのは禁物。
少なくとも二人のスタッフが、目で見て確認することで、一人が見落としたミスにもう一人が気づき、誤薬防止につながります。
また、一人ですべてやること自体、作業の多さにミスが誘発されがちですが、二人で手分けすることで、落ち着いた正確な作業が可能になるという点でも、ダブルチェックは有効なシステムといえます。
(3)きちんと服薬したか確認する
誤薬の原因としては、服薬のチェック不足もあげられます。
自分で飲める利用者の場合、薬を渡して終わり、ということが多いのですが、やはり飲まないで食事と一緒に下げてしまったり、落としてなくしてしまったり、ポケットに入れて持ち帰ったり、別の人の薬を間違えて飲んでしまったりといったトラブルは少なくありません。
飲み込みの確認をするのは時間がかかって大変ですが、いくら正しい薬を渡しても、きちんと飲まないのでは意味がありません。「飲みましたか」と一声かけるだけでもかなり誤薬・飲み忘れのリスクは違ってくるはずです。
薬の飲ませ方のコツ
それでは、実際に服薬を介助するときの心得をお伝えしましょう。
内服する薬には、粉や顆粒、錠剤やカプセル、液体、舌下剤があります。
●粉薬や顆粒状の薬
オブラートに包むと飲みやすくなります。舌の奥のほうにのせ、口に水を含ませて飲み込ませます。
オブラートがなければ少量の水と混ぜてペースト状にしてもよいのですが、粉分が残っているとむせたり誤嚥する危険があるので気をつけましょう。
●錠剤やカプセル
ひとつずつ舌の中央にのせ、水で飲みこませます。複数あるときも無理をせず一錠ずつ。舌の奥に入れると誤って気道に落ちることがあるので注意します。飲み終わったら口を開けさせ、なくなっているか確認しましょう。
●液体
薬瓶を静かに振って混ぜ、目盛りを目の高さで確認して、指示された量をコップや吸い飲みに出します。薬を飲みこんだら続いて水を一口飲ませます。
●舌下剤
舌の下に置き、舌下の粘膜から成分を吸収するもの。かみ砕いたり飲み込んだりしないように見守り、唾液で少しずつ溶かすようにさせましょう。
★ここに注意!!★
・誰が、いつ、どのくらいの量を飲む薬なのか、飲ませる前に必ず確認する。
・むせたり誤嚥しないように、体を起こして飲ませるようにする。臥位のときは頭を起こすか、横向きにさせる。
・飲み忘れがあっても、時間をずらしたり、一度に二回分を飲ませるなど、自己判断で用法・用量を変えないこと。
・水以外のもので飲むと効果が減少したり、副作用が出る場合も。お茶やジュースで飲ませるときは医師や看護師に確認する。
・飲んだあとの様子にいつもと変わったところはないか注意する。
終わりに
薬は症状を抑えたり健康を維持する反面、使い方を誤れば最悪の場合、命を奪う危険もあり得るもの。
高齢になると物忘れや勘違いが増えたり認知症の症状も出て、なかなか細かい薬の管理は難しくなるため、入居者の服薬の管理はスタッフが責任をもって行う必要があります。
日々の多忙な業務の中で、複数の薬を何十人もの人に間違いなく服薬させるのは大変なことですが、利用者の健康と安全を守るために、薬の取り扱いにはくれぐれも気をひきしめてあたりたいものです。