もう悩まない! 使える介護記録のための5つのポイント
- 2016-4-8
- 介護職のお役立ち情報
介護スタッフなら必ず書かなければならない介護記録。
実はこれに手こずり、悩んでいる人は少なくありません。
「何をどう書いたらいいかわからない」
「書くことがない(またはありすぎる)」
「時間がかかって大変・・・」
苦労したあげく、記載が不十分であったり、記録というよりメモのようになってしまったりと、なかなかうまくいかないのが困りどころですね。
でももう大丈夫!
介護記録の目的をよく知り、書き方のポイントをおさえれば誰にでも、的確な内容で、有効な記録を記すことができます。
それではさっそく、介護記録のノウハウを伝授いたしましょう。
目次
介護記録ってなんのため?
介護記録には、以下のような役割があります。
●スタッフの間で情報を共有するための記録
●利用者や家族とスタッフの間の、コミュニケーションツール
●利用者の希望や状況をケアプランに反映するための資料
●スタッフのプロ意識を高め、専門性を向上させるテキスト
●介護が適切になされているかの点検
●不測の事態にそなえての証明
総合的なチームケアのためには、記録することによって利用者や介護の情報を、皆で共有する必要があります。
また、ケアの点検材料として、技術の見直しや改善に役立ちます。
専門職として介護に関わる以上、その業務を記録し、誰もが見られるようにすることは、利用者や家族、社会全体に対する、ひとつの責任でもあるのです。
ではいよいよ、実際に記録するときのポイントをあげていきましょう。
これで完璧! 記録時の5つのポイント
1) だらだら書き連ねず、簡潔に。
出来事を克明に記録しようとすると、つい長い文章になりがち。ひとつひとつの文章をできるだけ短くすると伝わりやすくなります。
2) 「事実」を「具体的」に
実際にあったことを、脚色せずにそのまま記録します。具体的な物、言葉、音などを盛り込むと場面の様子がわかってGOOD!
3) 客観的に書く
自分の考えや感情、想像や憶測などは排除。記録には不要です。
4) 表現はできるだけ易しく
略語、専門用語は避けましょう。どうしても使う場合は注釈を。難解な言い回しや表現をせず、誰が見てもわかる言葉を使って。
5) 個人情報は慎重に
むやみに個人情報を記さないように。必要と思われるときは上司に相談すること。
★ここに注意!!★
●見たままを正確に書きましょう
たとえば廊下にうつぶせになっている利用者を見ただけで「転倒した」と書いてはNGです。「廊下でうつぶせになっていたのを発見」と書くのが正解。もし、人に聞いた話を書く場合は、いつ誰から聞いた話なのか明確にしておくこと。
●対応や処置まで、忘れずに書きましょう
「利用者からの訴え」「様子に変化があったとき」「ちょっとしたアクシデント」などを記録するときは、かならずどんな対応・処置をしたかまで書くようにします。
あとで忘れずに記録するためには、メモ帳を携帯して、その都度時刻とともにメモしておくと役立ちます。
●ケアの根拠・理由も忘れずに書きましょう
たとえば、食事の際、お茶が冷たくて飲めず、温かいお茶に替えたという記録でも、「お茶を吐き出す」→「冷たさの訴え」→「温かいお茶に変更」→「口内の知覚過敏の可能性」のように、ケアの理由や根拠まで書くと、読んだ人も利用者の状況を把握できます。
●日付、時刻を正確に、時系列で書きましょう
記録した出来事の日付と時刻は必ず書くこと。行ったケアは、時間を追って記載すると経過がはっきりわかります。署名も忘れずに。
こんなふうに書ければ合格!
最後に、実際の文例をあげてみましょう。
まずは、夕食時の対応についての記録です。
<文例>
「○○さんはあまり食べたくない様子。理由ははっきりしない。
時間をとり、様子を見ることにした」
→「食べたくない様子」は本人の言葉ではないので書かない。
→「理由ははっきりしない」・・どのように問いかけ、答えたのか書く。
→どのくらいの時間をとって様子を見たのか。
→何をいつまで観察したのか。変化はあったのか。
<改善例>
「○○様はいつもどおりデザートから手をつけたが、すぐにスプーンをおろしてしまった。「どうしましたか」「お魚は召し上がりませんか」と声をかけたが、反応はなし。
「体調の悪いところはありませんか」と聞いても首を横に振るので、無理にすすめず延食とし、一時間ほど表情などを観察することにする。一時間後、「ご飯が食べたい」との訴えがあったため、食事を再開。完食した」
次に、体調急変の対応についての記録です。
<文例>
「昼食時、腹痛を訴える。食事を中断。
B135/90、P68、SPO2 90%
ベッドにお連れし、横になっていただいた」
→昼食のどの時点か。食べる前か、どのくらい食べたのか。
→利用者の訴えを言葉どおりに書く
→食事の中断は誰の判断か。
→ベッドに臥床させた理由は。
<改善例>
「昼食を半分ほど召し上がったとき、「おなかがキリキリと痛い」との訴えあり。
B135/90、P68、SPO2 90% 血色はよく、話しかけると笑顔を見せる。
朝食時にも同じ痛みがあったとのこと。リーダーと相談し、食事を中断、看護師が来るまで延食とする。横になりたいと訴えがあったため、居室のベッドに案内し臥床していただいた」
以上のように、その場にいなかった人が読んでも場面が目に浮かぶように、できるだけ具体的に書くと、アクシデントの要因や、その後のケアのヒントもなり、役に立つ介護記録となるでしょう。
いかがでしたか。
具体的で的確な記録は、より良いケアに結び付きます。
ここにあげたポイントを押さえ、効率の良い記録の仕方を身につけて、誰もが有効活用できる介護記録を作成してくださいね。