一日一回の幸せ! 高齢者の「おやつ」の楽しみ方
- 2016-5-6
- 介護職のお役立ち情報
介護施設には一日一回、必ずおやつの時間があります。
子どもだけでなく、大人になってもおやつは嬉しいもの。もちろん高齢者にとっても、おやつはわくわくする楽しみなひとときです。
そこで今回は、高齢者のおやつの目的や出すときの注意点、おやつレクなどで楽しめるおすすめのメニューをお届けしましょう。
ぜひ、入居者の皆さんと一緒に笑顔いっぱいのおやつタイムを過ごしてくださいね。
目次
高齢者のおやつの目的は3つ
誰もがほっとリラックスできる時間、それがおやつ。
高齢者にとって、とくに役立つのは次の3点です。
(1)生活に彩りを添える
甘いものを口にして、心も体も喜ぶおやつの時間。カラフルだったり楽しい形だったり、見た目にも楽しめるおやつも多く、気持ちも弾みます。美味しいものを口にしながら、親しい人と一緒に楽しく過ごすひとときは、生き生きとした暮らしのアクセントに。音楽をかけたり、花を飾るなど、気分を和ませる工夫があるとさらに良いですね。
(2)水分の補給に役立つ
高齢になると、のどが渇いていても気づきにくくなり、長時間水分をとらないで脱水症状を起こしたりしがち。かといってお茶ばかり飲むのも味気ないもの。おやつの時間に、お菓子に添えてお茶やジュースを出し、水分を補給してもらいましょう。
認知症の予防や改善に、一日1リットルから2リットルの水分が効果的だとする説もあります。高齢者に水分はとても大切。おやつは抵抗なく水分がとれるチャンスです。
(3)不足した栄養を補える
高齢者は一度に少量しか食べられなかったり、噛む力や飲み込む力が衰えている場合があり、3度の食事で必要な栄養がとれていないことも。
おやつの時間なら、楽しく美味しく、足りない栄養を補給することができます。食欲の衰えている人や咀嚼力の落ちている人には、見た目が華やかで食欲をそそるお菓子や、ゼリーや寒天など飲み込みやすいものがおすすめ。
また、主食をあまり食べない人には焼き芋やおはぎを、おかずを残しがちな人には卵や乳製品を使ってたんぱく質の補給を、ビタミン不足なら果物と、いろいろな形で不足した栄養を補うことができます。
おやつを出す際の注意点
●一回100~200kcalくらいを目安に
おやつは栄養補給になるとはいっても、入居者の中には糖尿病などでカロリー制限のある人も。健康な人でも、好きだからといって食べ過ぎればカロリーオーバーになります。一日一回、100~200kcalくらいで考えるようにしましょう。
●食事に響かない時間帯と量で
食生活のメインは食事。おやつはあくまでも補助的なものなので、おやつで満腹になって食事がとれなくては本末転倒です。食事の近い時間に出すのはNG。量にも気をつけて。
●その人に合った形状にする
嚥下機能や歯の状態は人それぞれ。固いものの歯ごたえを楽しみたい人もいれば、噛むこと自体が無理な人もいます。相手の状態を把握して、必要なら刻む、つぶすなど、その人に合った形で出しましょう。
●夜のおやつは避ける
おやつで一番大切なのは楽しく食べること。おしゃべりを楽しみながら美味しく味わうことは、心身をリラックスさせます。甘いものは疲労回復効果もあり、日中の疲れが出てきた午後にはぴったり。気分転換にもなります。
それでは次に、おやつレクにも最適な、高齢者向けのおやつメニューをご紹介しましょう。
作って食べる幸せ、おやつレクリエーション
介護施設では、利用者とスタッフがみんなでおやつを手作りし、そのあとで頂くおやつレクリエーションがよく行われます。
食べるだけでなく、作る過程にも参加することで、達成感も味わえ、美味しさもひとしおに。
そんな手作りにもぴったりの高齢者向けおやつメニューをご紹介しましょう。
●クッキー
手作りおやつの王道ですが、粉をふるう、まぜる、伸ばす、抜くなど、高齢者にも参加しやすい作業で作れるクッキーは、みんなで協力して作る楽しさがいっぱいです。マヒのある方でも参加でき、危険な器具も使わないため、安心して取り組めます。粉を減らしたソフトクッキーも、食べやすくておすすめ。
●ホットケーキ、クレープ
まぜた種を、ホットプレートで焼きます。目の前で焼けていく様子が見られるので、作業に参加できない人も一緒に見守りながら楽しめます。焼きあがったら、切ったフルーツや泡立てたクリーム、ジャム、チョコレートソースなどでトッピングをするのも楽しいですね。
●たこ焼き
ホットプレートにはタコ焼き用のプレートがついているものも。一度にたくさん焼けるので、おやつレクに最適です。タコの代わりにチーズやウインナーを入れると、いろんな味を楽しめます。
●ジャガイモ餅
ゆでたジャガイモをつぶして白玉粉とこねたものをホットプレートで焼きます。しょうゆをつけたり海苔を巻いたりして磯部に、ケチャップで洋風に。
●ゼリー
野菜や果物のジュースにゼラチンを溶かし、型に流して固めるだけ。小さく切ったフルーツを入れたり、楽しい形の型で作ると見た目にも綺麗なゼリーができます。
●パフェ
グラスに、アイスクリームと缶詰のフルーツ、コーンフレーク、ポッキーなどを思い思いに盛り付けるパフェ作りも、楽しいレクになります。自分の好みでチョコパフェ、フルーツパフェなど好きなものが食べられて、夏の暑い日にぴったり。
●昔懐かしい和菓子
重曹と砂糖があれば作れるかるめ焼きは、お年寄りには懐かしのお菓子。口の中で溶けるので、誰にでも美味しく食べられます。また、ホットケーキを小さく焼いてあんこを挟み、どら焼きにしたり、寒天を作って黒蜜と黄粉をかけたり、牛乳とはちみつ、切ったフルーツをミキサーにかけたフルーツ牛乳もおすすめです。
●その他
敷地内に庭があれば、たき火をして焼き芋パーティーも盛り上がります。また、いろいろな種類のおやつを並べて好きなものをとる、おやつバイキングも人気のイベント。おやつの楽しみ方に決まりはありません、どんどんチャレンジしてみましょう!
いかがでしたでしょうか。
高齢者にとって、おやつは一日のゴールデンタイム。入居者様同士の、大切なコミュニケーションの場でもあります。
この幸せなひとときを、素敵なおやつを味わいながらゆったりと楽しんでいただきたいものですね。