乾燥注意 ! 高齢者の皮膚トラブル対策
- 2016-4-15
- 介護職のお役立ち情報
寒い季節になると肌の乾燥が気になりますね。
とくに高齢者の皮膚は加齢によりバリア機能が失われていて、ちょっとした刺激でも「老人性乾皮症」や「皮膚掻痒症」を引き起こしやすくなっています。
「気がつくとあちこちポリポリかいてしまう」
「入浴後は体じゅうがかゆくてかゆくて・・」
「布団に入って体が温まると、かゆみで眠れない」
そんな利用者様の声も聞こえてくるのではないでしょうか。
そこで今回は、高齢者の皮膚の特徴を知り、肌トラブルを防ぐ日常的な対策をお届けしましょう。ぜひ適切なスキンケアで、利用者様が快適に過ごせるようサポートしてあげてくださいね。
高齢者の皮膚の変化
高齢者の肌についての調査では、6割強の人が何らかの肌のかゆみを感じているようです。中には一年中いつでもかゆい、という人も。
高齢者の肌は、若い人に比べてどのように変化しているのでしょうか。
高齢になると皮膚の表面にある角質が、乾燥によってはがれやすくなります。また、きめも粗くなり、ひび割れたりめくれたりすることも。弾力や柔らかさがなくなっていき、シワが増えてきます。
保水性もなくなり、皮脂の分泌量も低下します。そのため皮膚のバリア機能が損なわれ、外部からの刺激をダイレクトに受けてしまい、ちょっとしたことでかゆみや湿疹などを引き起こすのです。
また、古い皮膚が新しい皮膚と入れ変わるターンオーバーは、若い人は28日ですが、加齢とともにその周期が長くなります。メラニン色素が蓄積しやすいので、老人性色素斑というシミが多くなってきます。
本来、ケアを行わなければいけない側の介護職が鬱病になってしまうと、利用者に対して適切なケアができなくなりますね。そこで、鬱病の疑いを感じた場合には、早めの処置が必要となります。疲れやストレスは溜めず、気分転換を図るようにしましょう。そして、上司へ相談をし、勤務を減らしてもらう配慮を求めましょう。今のままでは、利用者に適切なケアができないことを話す必要がありますね。
注意したい老人性乾皮症
若い人の肌に潤いがあるのは、角層の水分がしっかり保たれているから。
しかし歳と共に角層に水分が届きにくくなり、皮脂も減少し、角質細胞間脂質や天然保湿因子といった水分保持を助ける物質も減るため、高齢者は慢性的な乾燥肌となります。
やがて皮膚のきめが粗くなり、表面に細かい粉がついた状態に。これが老人性乾皮症です。困るのはかゆみを強く感じる症状で、掻きむしり、皮膚に炎症が起こりやすくなります。中には地割れのような紅斑ができる「皮脂欠乏性皮膚炎」を併発したり、さらに別の湿疹を引き起こして重症化することも。
まずは皮膚の乾燥を防ぐことが何よりも重要です。
スキンケアの3つの要素
以上のように、高齢者の皮膚にはさまざまな変化がみられるため、若い人とは違うスキンケアが必要になります。
スキンケアには
●洗浄
●保湿
●保護
の3つの要素があり、どれかひとつ欠けても、皮膚を健康に保つのは難しくなるので、この3段階をきちんと行うことが大切です。
①洗浄
まず始めにすべきことは、清潔を保つこと。
皮膚の汚れの原因は、汗や皮脂、角質などがほこりと混ざって出る垢。
これを落とすためには入浴やシャワーで石けんを使い洗い流すのが基本です。
ただし、高齢者の場合、皮脂を落としすぎることは禁物。もともと低下しているバリア機能がなくなり、ほこりや細菌、カビなどの刺激に過敏な状態になってしまいます。
大切なのは過度な洗浄を避けることと、洗浄剤選び。そしてこすらず優しく洗うことです。
入浴は一日一回までとし、熱すぎる湯温は乾燥を悪化させるので、38度~40度にします。洗浄剤は弱酸性のものを選び、ナイロンタオルは避けて泡で洗うようにしましょう。
すすぎ残しは接触性皮膚炎の原因になるので注意。浴槽には保湿成分の入った入浴剤などを入れてもいいでしょう。
②保湿
保湿は入浴後、肌が湿った状態でするのがコツです。水分を拭いてから5分以内には保湿剤をぬるようにしましょう。皮膚が水気を含み軟らかくなっていて、保湿成分が浸透しやすくなっています。
ぬるときは以下の手順で行います。
1)手に保湿剤を出し、そのままぬらずに皮膚の何か所かに点々とつけていきます。
2)手のひら全体を使ってこすらないようやさしく広げます。できるだけ広範囲に薄く。
3)皮溝は横方向に走っているので、できるだけ皮溝に沿って横方向にぬります。
4)ややテカリがあってしっとりした状態になるくらいに、量を調整します。
保湿剤にはローションやクリーム、オイル、軟膏などいろいろな種類があります。
どれも保湿効果は高いのですが、使用感が異なるため、季節やぬる部位などによって使い分けると良いでしょう。たとえば夏はさっぱりした使用感のローション、冬は保護効果の高いクリームや軟膏などを選ぶのもいい方法です。
③保護
洗浄と保湿で皮膚自体のバリア機能を高めると同時に、皮膚への刺激となるさまざまな要因から肌を守ることも必要です。
紫外線は目に見えませんが、皮膚の老化を促し、シミやしわを作り、皮膚がんの原因にもなります。日中の外出には日傘や帽子、日焼け止めなどの使用を習慣づけましょう。
肌着などの皮膚に触れるものは、化学繊維を避け、チクチクしないものを選びます。
アルコールや辛いものなど、体温を上げてかゆみを助長するものは控えることも大切です。
秋から冬にかけては空気が乾燥し、暖房も部屋の湿度を下げます。加湿器を使って、50%前後の適度な湿度を保つようにします。コタツや電気毛布なども肌を乾燥させ、ときに低温やけどを引き起こすので、利用している人には注意しましょう。
いかがでしたか。
皮膚のトラブルは命にかかわるものではないため軽視されがちですが、カサカサと粉を吹く肌やかゆみはQOLを下げる不快なものです。
高齢になるとなかなか自分では徹底できないスキンケア。その大切さを忘れずに、毎日のケアに組み込んで、利用者様には潤いを取り戻した快適なお肌で過ごしていただきたいものですね。